アフターパーツのアルミホイールにはさまざまなデザインとコンセプトのモデルがある。とくにスポーツ系ホイールでは、そのデザインによって軽さや剛性など各社こだわりが垣間見える。では、どのデザインのホイールが軽くて強いのか。デザインごとの特徴とは。
◆選ぶポイントは“デザイン”“軽さ”“剛性”どれを重視する?
ホイールには多様なデザインがあり、そのデザインで選ぶ人も多い。それは好き好きだがサーキット走行をしたり、スポーティな走りをしたいとか、ワインディングロードでもっと軽快に走りたいという人は性能にこだわりたいだろう。
ホイールはバネ下と呼ばれる場所にあるパーツ。このバネ下とはサスペンションのスプリングよりもタイヤ寄りにある部分のことで、この部分が軽いほうがタイヤの路面追従性がよくなり走行性能がよくなると言われている。軽ければ軽いほうが段差などでも素早く上下してショックを吸収することができ、路面追従性が上がる。それによってタイヤは高いグリップ力を発揮できる。そのためできるだけバネ下重量を軽くしたいわけだ。
そこでもっとも簡単に重さを変えられるのがホイールなのだ。鉄製ホイールからアルミ製ホイールが増え、さらに軽く作ることができる鍛造アルミ製ホイールも増えている。
気になるのがホイールのデザインである。現在もっとも剛性バランスがよく、軽く作りやすいと言われているのは10本スポーク。各ホイールメーカーでもワンメイクレース用など、究極の性能を追求したホイールでは10本スポークを採用していることも多い。スポーツホイールの代名詞的存在であるRAYSのTE37シリーズは6本スポーク。これはレースでのタイヤ交換時にいつも左右スポークが真横に来て持ちやすいという理由で6本スポークデザインになったと言われている。10本スポークではないが、究極のレーシング性能を極めて行った結果の6本スポークなのだ。スポーツホイールではほかにもデザインがあり、メッシュデザインは全体の剛性バランスに優れると言われている。
◆デザインはもちろんのこと“インナーリム”の強さに注目!
だが、実は注目してもらいたいのはスポークの本数だけではない。スポーツホイールに重要なのはインナーリムの強さなのだ。
最近のクルマはストロークしたときにホイールアライメントの変化を抑えるために、サスペンションアームができるだけ長く設計されている。その分、ホイールのインセットが大きくなっている。ホイールの取り付け面がホイールの中心よりもボディ外側に寄っている。それだけホイールの断面はコの字型になっていて、ホイールの内側のリム(インナーリム)は歪みやすくなっている。
この部分が歪むとドライビングフィールに曖昧さが生まれたりする。また、挙動が不安定になったり、不安感を感じたりしやすい。そこでインナーリムの強さが年々求められるようになっている。
近年はクルマ自体が衝突安全基準に適合させるために強くなり、ボディは重くなる一方。ボディ自体も大きくなり、どんどん重くなっている。加えてタイヤのグリップは高まり続けていて、スポーツタイヤはひと昔前のレーシングタイヤ並みのグリップ力があるほど。これらの要因からホイールに掛かる負担は増え続けている。
各ホイールメーカーでもそれに対応するべく、モデルチェンジを行っていて、徐々に剛性や強度を高めている場合が多い。やや重くなっても剛性アップを図っていて、たとえ重くなっても強くなる方がメリットが大きいというのだ。
そのため新モデルになるとインナーリムの厚みが増えていたり、リムの断面にいくつも波を作って剛性を高めたりしている。そういった部分はスポークとは関係ない。ホイールごとにコンセプトがあり、それが軽さ重視なのか、強さ重視なのかなど、あるのでそのコンセプトを理解した上でホイールを購入するようにしてもらいたい。
意外とホイールメーカー側では重量車向けの設計モデルもあれば、軽めのクルマで軽快に走るコンセプトで設計されているモデルもある。そういったモデルを履けるサイズだからからとミニバンに履かせれば、好ましいフィーリングにはならないわけで、どんなコンセプトでどんなクルマをターゲットに作られたホイールなのかを吟味してもらいたい。そのあたりの情報はプロショップに聞いてもらうのが一番だろう。