普段使いできるオーディオカーとしてベテランユーザーの藤原さんが静岡県のレジェーラと共にコーディネートしたメルセデスAMG『A35』。フロント3ウェイの投入に加えて、ステージの広さを重視したツイーターインストールで狙ったサウンドを引き出した。
◆スピーカーに選びにはこだわって
色気のあるサウンドをテーマにチョイスを実施
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普段使いできるオーディオインストールをテーマにした藤原さんのAMG。前編で紹介した通りDSPアンプを使ったコンパクトなシステムでまとめ、トランクスペースもしっかり使える容量を確保した。しかしコンペにも積極的に参加しているベテランユーザーの藤原さん、サウンド面での妥協は無く、スピーカー選び&インストールには徹底してこだわった。
選んだのはDEERブランドのスピーカー群だった。藤原さんにとって以前から気になるブランドだったが、今回採用したRJ IIシリーズが登場した時にそのサウンドに魅了されたという。
「すごく色気のあるサウンドが印象的だったんです、これは良いなと思える音に仕上がっていたので導入することにしました。国産スピーカーをチョイスしたのも約10年ぶりで、そういった意味でもその音に期待するシステムになりました」
フロントにはAピラーにツイーター(RJ025)、ミッドレンジ(RJ085)をインストール、ドアにミッドバス(RJ175)をインストールするフロント3ウェイ構成。前編でお伝えしたサブウーファーにもRJ250をチョイスしてスピーカーブランドの統一を図った。
◆大きくサイドに張り出したツイーターで
広いステージと共にデザイン性も手に入れた
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コクピットまわりのインストールで見どころとなったのがAピラーのインストールだろう。オーナーの意向として「ステージの広さ」をとにかく出したかったという。そのためツイーターをギリギリまで車体の外側に追いやって取り付けることがテーマのひとつになる。その結果生まれたのがAピラー部分から大きく脇に膨らんだツイーター取り付け部の造形だった。Aピラー側から伸びるツイーター部はドアとのクリアランスもギリギリ、神業のようなインストールで狙い通りの取り付けを達成している。
加えて「音はもちろん、かっこ良さも重要です」と無骨なデザイン性はNGとした。ここでもインストール処理でコクピットの純正ラインにフィットするデザインにこだわった。本来は無いラインだが違和感の無い造形処理によってカスタム部分と純正を融合させる、“カスタムライン”とも言えるスタイルを作り出した。この仕上がりはオーナーもお気に入りの部分になった。アナログでの角度&位置調整を強いられるツイーターの取り付けだが、こうして音&デザインの両面で満足いく仕上がりを手に入れた。
ちなみにミッドレンジは左右対象(シンメトリー)のレイアウト、対してツイーターはドライバー(リスナー)からの距離が近い右ツイーターの影響を考慮して、左右非対称(アシンメトリー)での取り付けにしている。タイムライメントでのデジタル調整を前提としながらも、取り付けを大切にするのもベテランらしい選択だ。
◆オーケストラからアニソンまでをこなす
オールマイティなサウンドでコンペ上位を目指す
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オーディオプレイヤーにはカーオーディオに特化したDAPであるDAP300APEXをチョイス。収録曲は多岐にわたり、お気に入りのP丸様。からショパンのピアノ協奏曲第1番まで定番で聴く曲は幅広い。そのためオーディオのチューニングはかなりの高難度になる。
「オーケストラからアニソンまでを同じ調整で気持ち良く聴けること(ここ重要!)、しかもそのままコンテストに出ても上位に食い込める実力を持っていることを目指しました。完成した音を聴くとその自信はあります」
DSPの操作部はワンオフしたパーツ。センターコンソール内に納めているがリッドを開けた際の存在感は高い。操作性も含めて普段使いしやすいクルマを徹底したオーナーならではの仕様だ。
オーディオコンペなどを楽しむベテランユーザーが、普段使いをテーマにして作ったこのクルマ。DSPアンプを使ったコンパクトなシステムと、こだわりのスピーカー選び&インストールで結果的にはレベルの高いオーディオカーに仕上がった。オーナーも満足の日常カーができ上がった。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。